メンヘラ・小田切さんは今日も妻に貢いでいる
その頃、翠衣達も帰ろうとしていた。

「翠衣、家どこ?
私、車だから送るよ?」
トモコが、車の鍵を片手に言ってきた。

「あ、大丈夫だよ!
私は駅ビルでお買い物して帰るから!
ありがとう!」

翠衣は、留守番をしている亜夢に、何か土産を買って帰ろうと思っていた。

いつも沢山の贈り物をしてくれている亜夢に、たまには自分から贈りたいと思ったから。


色んな店を見て回る。

「うーん……何がいいかな〜?」

亜夢はどんな物が喜ぶだろう。
亜夢のことを考える。

“翠衣ちゃん、好き、好き〜!”と傍に居たがる亜夢。

ペアや、お揃いの物を送るのはどうだろう。

「うん!喜んでくれそう!
―――――――よし!!」

色々見て回った結果。
ペアウォッチを贈ることにした、翠衣。

腕時計なら、亜夢も翠衣も仕事中つけることが出来る。

「―――――ありがとうございました!」

日頃の感謝も込めて、奮発した翠衣。
腕時計の入った小ぶりの紙袋を片手に、店を出た。


“今から帰る”と亜夢にメッセージを送るため、スマホをバッグから取り出す。

「えーと…
い、ま、から、帰ーる、よっと!
送ーし…………」

「お姉さん、一人?」

「え?」

「可愛いね〜ヤバッ!」
「何してるの〜?」

「え?え?」
三人組の男達に声をかけられ、目をパチパチさせている翠衣。

「フリーズしてる〜」
「ねぇねぇ〜俺達と遊ばない?」
「桜でも見に行こうよ!」

「…………結構です」
スッと真顔になった、翠衣。
ペコリと頭を下げ、再びスマホに目を向けた。
今度こそ、メッセージを送信した。

そして、家路に急ぐ。

すると……
「待ってよー」
と、男達の一人に手を掴まれた。

「………」
(しつこい!この人達…
しかも、お酒臭いよ…)
思わず、睨みつける。

「遊ぼ?」

「ですから!結構です!」

「フフ…
“結構です!”だってぇ〜!」
「良いじゃーん!」

「だからぁ!
――――――ん?」
(あれ?このタトゥー……)

男達の一人の首に目が行く。

「………」
(安川さんと同じタトゥーだ…)

敏郎と同じデザインの、大トカゲが首に彫られていた。
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