メンヘラ・小田切さんは今日も妻に貢いでいる
「信じてるよ」

「じゃあ…今から言うことを信じて聞いて!」

「うん」

「私は、小田切さんに紹介されたあの時から、亜夢さんが好き!
自然に、まるでそうなることが決まってたみたいにお付き合いし始めて、亜夢さんがプロポーズしてくれた時、本当に嬉しかった!
おじいちゃんやおばあちゃんのことも、大切にしてくれる亜夢さんが好き!
私のことを大切にしてくれる亜夢さんが好き!
私のために、いつも真剣に考えてプレゼントしてくれる亜夢さんが好き!
毎日、愛情表現してくれて、真っ直ぐで、ちょっと面倒くさくて、でも…強くて、純粋な亜夢さんが大好き!!」

「翠李ちゃん…」

「亜夢さん、死なないで!」

「うん、ごめんね…」

「“死ぬ”っていう亜夢さんは嫌!!」

「うん、ごめん!」

「ずっと亜夢さんの傍にいるから!」

「うん!」

「だから、不安にならないで?」

「うん!」

「亜夢さんしか好きじゃないから心配しないで!」

「うん!」

「いい?
私を信じて!!!」

「うん!
翠李ちゃん、俺も大好き!!」

翠李の力強い言葉と雰囲気に、亜夢も大きく頷いた。
そして、嬉しそうに笑った。

「はい!亜夢さん」

両手を広げる翠李。
亜夢は、吸い寄せられるように翠李を抱き締めた。

「翠李ちゃん!翠李ちゃん!」

「亜夢さん、大好き!」

「俺も、大好き!」
翠李に頬擦りして、溢れる思いを吐き出す。

「落ち着いた?」

「うん!
ありがとう!」

「ん。
安川さんにも、謝らなきゃ!」

「えーなんで?」

「亜夢さんのことだから、責めたんでしょ?」

「………」
また、ふてくされている。  

そして………子どもみたいな亜夢を説得し、電話させた翠李。
『―――――亜夢くん?』

「トシくん、責めてごめんね」

『は?』

「翠李ちゃんがね、謝れってゆうからかけた」

『あ、そう(笑)』

「あのさ」

『ん?』

「確認してい?」

『何?』

「“本当に”翠李ちゃんのこと、どうも思ってないよね?」

『あぁ!
俺が好きなのは、冬菜だ!』

「うん、わかった。
じゃあ…もう言わない」

『あぁ。
…………亜夢くん』

「ん?」

『俺、冬菜にプロポーズしようと思ってっから』

「え?」

『冬菜には言うなよ?
サプライズすっから!
亜夢くんに、安心してもらうために特別に話したんだからな!』

「そうなんだ!おめでとう!」

『だから“わかるよな?”
俺が、誰を、想ってるか!』

「わかった!」

通話を切ったあとの亜夢は、ホッとしたように穏やかに微笑んでいた。



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