α様は毒甘な恋がしたい
びっくり顔の祈さんが、私の両肩をギュッ。
倒れないように、がっしりと支えてくれたのに。
私の口から出た言葉は「ごめんなさい」でも「ありがとう」でもなくて。
湧き上がった想いを伝えないと気が済まなくて。
じっと見上げるように祈さんの瞳に視線を突き刺し、芯のある声をぶつける。
「祈さんが抱いているアルファへの憎しみは、完全に消えることはないと思います」
「……そっ、そうよね。私も諦めているわ」
「でも憎しみは、完全に消さなくていいと私は思います」
「えっ?」
「私は良い人でありたいと思いながらも、醜い感情を抱えて生きてきました。恨みのない心の綺麗な人間になるべきだと思い込んで、醜い感情を否定し続けてきました」
でも人間は、負の感情を生み出してしまう生き物。
「嫌なことや辛いことがあれば、悲しくなるし。悲しみが募れば、憎しみが生まれてしまうものだと思うんです。私も祈さんも前世の辛さをごまかしながら、生きていくしかないと思うんです」
だから……