α様は毒甘な恋がしたい
「祈さんの辛さ、全て私に吐き出してもらえませんか?」
「あなたに?」
「オメガの悪口でもなんでも、私は聞きますから」
「ごめんなさい、それは無理ね」
「なんでですか?」
「私は頑固者なの。人に頼りたくないのよ。貸しを作りたくないし、これ以上弱みを握られたくない」
「じゃぁ、勝手に歌います」
「えっ? 歌う?」
「はい」
「美心ちゃんが? えっと……何を?」
「祈さんがオメガに対して怒っていることを、書きだしてください。アルファに対すること、ベータに対すること、第二の性なんて関係なく苛立っていること。何でもいいので、抱えている不満を私に教えてください。曲に乗せて、祈さんの代わりに私が歌いますから」
「なっ、なんでそうなるの? 歌う意味が分からないんだけど……」
「マイナスな感情を抱え込んでいるのが辛いなら、自分の外に吐き出すしかないと思うんです」
「……はぁ?」
「祈さんの名前は伏せて、七星美心として歌いますから。ネットにアップして、世界中の人に祈さんの悲しみを、間接的に伝えますから」
「私の憎しみを歌詞にしたら、全てがオメガとアルファとベータ批判よ。そんな歌を歌ったら、美心ちゃんが世界中の人からバッシングをされてしまうわ」