α様は毒甘な恋がしたい

「その代わり私も、自分の悲しみを歌に込めます。アルファやベータに伝えたいことも、ハルヒとして前世で受けた悲しみも、今まで私が隠してきた憎しみも、世界中の人にわかって欲しいんです。オメガも同じ人間なんだよ、差別されたら辛いんだよって。ちゃんと伝えたくて」

「……美心ちゃん」

「前世の記憶と現世の失敗で痛感しました。他人任せじゃ、理想の世界は作れない。自分が派手に動き出さなきゃ、何も変えられないって」



「フフフ、変な子」


 涙を指でぬぐいながら、祈さんが笑ってくれた。


 「矢面に立って歌うことで、私の憎しみを肩代わりしようとするなんてね」


 ずっと見ていたいな。

 聖女のような、祈さんのおっとり笑顔を。


 瞳に映るだけで、私の心が優しく熱を帯びる。

 嬉しくて、目元が緩んでしまう。


「彼の名前は伏せますけど、私の失恋の恨みも歌にしちゃっていいと思いますか?」

「美心ちゃんは、どんな歌を世に出すつもり?」

「運命の番だって甘い言葉を囁いて首を噛んだなら、一生そばにいてよーーー!って、泣き叫んじゃう系です」

「それって戒璃のこと?」

「そんな歌を作ってネットにアップしたら、二度と私に笑顔を見せてくれないでしょうね、戒璃くんは。アハハ~」

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