α様は毒甘な恋がしたい
「もう美心ちゃんったら。自虐をぶち込んで、私の心の傷を癒そうとしてくれているのね。ありがとう」
「私、本気ですから。祈さんの辛さを和らげてあげたいって、本気で思ってますから。全世界に向けて歌いますから!」
「フフフ、もういいのよ」
「ダメです、私に歌わせてください」
「美心ちゃんの気持ちは嬉しいけれど、遠慮しておくわ」
「どうしてですか?」
「オメガへの憎しみにまみれていたせいで、忘れていたけれど。聖女だった頃の私はね、人を喜ばすのが大好きだったのよ。私の言動が相手の笑顔をひきだしたって自己満足をして、承認欲求を味わいつくしたいタイプなの。私から、快楽と満足感を奪わないでくれるかしら」
「……えっと」
「なーんていうのは、半分冗談」
「?」
「これ以上、自分を嫌いになりたくないのよ。自分のせいで不幸になる人がいるなんて、耐えられないわ。美心ちゃんが世間から文句を言われたら、私も悲しくなっちゃう」
「……祈さん」