腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


『男だったら浮気だよ? お義母さん、どうしましょう。俺、和歌のこと信じてたのに……』


 まるで和歌が浮気していた前提で話を広げる尚人。尚人の問いかけに和歌の母親は「どうなの?」と質問をしていた。


「浮気なんてしてない。浮気してたのは尚人じゃない! 私、荷物取りに帰った時にみたんだから。水面所にもうワンセット、コップと歯ブラシが置かれていたの。それにゴミ箱も……ティッシュと……使った避妊具の山……」


 和歌の声にだんだん覇気がなくなってきた。きっと、昨日の光景を思い出しているんだろう。


 俺の鞄の中には和歌から預かった尚人宛の内容証明書と、浮気相手に送る予定の内容証明書。それと、昨日の防犯カメラ越しでの映像をすぐに映し出すことができるように、パソコンと、マンション内で撮影した証拠の数々をまとめて印刷したファイル一式。自分の名刺も入っていることを確認し、車を出た。


 和歌の家に向かう途中も変わらず話し合いの内容は聞こえてくる。


『はあ? 和歌がいないんだから、一人でしてただけだけど? 俺、汚れるの嫌いなんだよね。だから、一人のときもいつもゴムはつける』

 苦し紛れな言い訳をしながら、『あ、すみませんお義母さん、下品な話をして……』と、負けじと母親に良い顔をしているようだ。



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