腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
尚人と和歌の話声ばかりで母親からは何も発せられない。ただ、呆然としているといった感じだろう。
『というか、自分の母親の前でそんな下品な話するなよ。浮気だ、とか、根も葉もないこと言いやがって!』
「……だ、だって。私、尚人の浮気相手知ってるよ。私の職場の人でしょ! だから、私はその人の嫉妬や妬みで、お店を辞めるように仕向けられたんだよ!」
『はあ!? んなわけねぇだろ! 被害妄想も大概にしろよ! 証拠あんのかよ!』
雑音がガガッと入り交じったことにより、和歌の身に何かが起きたような気がした。その勘はお母さんの『きゃあ! 尚人くん、和歌になにしてるの!』という声で疑いが確信に変わった。
和歌の家へ着き、インターホンを鳴らす。するとお母さんが助けを求めるような顔で玄関のドアを開けてくれた。
「た……たすけてください……娘を……助けてください……」
お母さんは俺の服を掴み、小刻みに震えていた。
学生時代、何度か会ったことがある和歌の母親は当時に比べて皺や白髪が目立っていた。体型もふっくらとしていて、それ相応の年数が経ったことを実感した。
「……おばさん、お久しぶりです」