腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


「ボイスレコーダーの電源も入れたから」

 この声で、俺は和歌が家へ着いたことを悟った。
 ーーここから、和歌と尚人の話し合いが始まるため、すぐに車から出ることができるように準備をする。

『遅かったじゃないの! 早く入りなさい! しっかり説明してちょうだい!』


 小型盗聴器がちゃんと聞こえるか不安だったけれど、母親の声も何の違和感もなく聞こえる。これだけ聞こえれば十分だ。会話を聞き逃さないように耳を澄ませる。


『……和歌、どういうことかちゃんと説明しろよ。なんで荷物もって出て行ったんだよ」

「尚人が言ったんでしょ、疲れてるなら実家で長期休暇取ってゆっくりしてくればって」


 さっそく和歌と尚人の会話が始まった。尚人は最初っから和歌に対して喧嘩腰のように感じる。


『でも、実家じゃなかったんじゃん。どこで誰といたんだよ!』

「だから高校のときの友達だって! 尚人から追い出されたから、使ってない部屋を借りてそこで生活させてもらってたの!」

『どうだか……荷物も急に無くなるし、もしかして男? 和歌、分かってる? 俺達、婚約してるんだよ?』


 尚人の圧に負けて、和歌が上手く反論できていない。

 俺にはちゃんと言い返してくるくせに、なに遠慮してんだよ。

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