腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「いえ、告訴ではなく、示談で慰謝料請求をしたいです」
和歌の強い意志を見たお母さんは呆然とし、口を閉じてしまった。
ようやく尚人を庇うのことをやめたようだ。あのまま庇い続けていたら、俺は母親にも「それは脅迫罪になる」と言っていただろう。
示談を聞いた尚人はホッと肩を落とした。
この男はこの現状を理解しているのだろうか。
結婚したいと思っていた婚約者がいなくなるというのに、自分のことばかり心配している尚人に殺意が湧く。
「お金を払えば解決するんですか……いくらくらいですか」
そう問いかける尚人に対し、一枚のメモ用紙を取り出し、不貞行為での婚約破棄の際に料請求できる金額と、今回和歌を殴ったことにより新たな罪を被ることとなった暴行罪の金額を細かく書き出し尚人に忠告する。
「ああ、ちなみに浮気相手にも慰謝料請求しますからね。相手は分かってます。櫻坂のジュエリーショップで働かれていた和歌さんの上司に当たる人で、名前は佐々木陽子さん、二十九歳」