腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
尚人はびっくりしたような目をし、俺に「申し訳ありません。ですが困ります」と言葉を発したことにより、浮気をしていた事実を認めた。
「佐々木さんとはどうやって知り合ったんですか?」
俺の問いかけに尚人は語り始めた。
「ちょうど和歌がジュエリーショップで働き始めた頃、様子を見に行って。そこで仲良くなって連絡先を交換しました。本当にスミマセンでした。俺が連絡先を交換したいと言ったことが全ての始まりだったんで、俺が悪いです。彼女の分も俺が慰謝料支払います」
「そうですか。では、彼女の分も書き出しますね」
和歌と婚約破棄をしたら、恐らく一緒になる気だろう。
尚人が浮気相手を庇う姿を目にした和歌は、堪えきれない涙を洋服の袖で拭っていた。
「私には自分のことは自分でなんとかしてって言ってたのに、佐々木さんにはそこまでするんだね……」
和歌から尚人へ発せられたその言葉に、尚人の味方を仕切りにしていたお母さんは泣き崩れてしまった。
なんとか母親だけは味方につけたかった尚人も、もう割り切ってしまったようだ。母親に声をかけようとも、謝ろうともしない。
「……お二人の慰謝料合わせるとざっとこれくらいですね」
メモ紙を見せると、尚人は「えっ、こんなに!?」と驚いていた。
俺が尚人にこれくらいと提示した金額は尚人の分で四百万。浮気相手の分で百五十万。合計五百五十万。