腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
2コールめで、
『お電話ありがとうございます。東郷弁護士法律事務所です』
暖の声が聞こえた。それだけで安心して「う、ぐっ、ずっ」涙がこれでもかと思うほど溢れる。
『…………あの、もしもし?』
暖が不思議そうな声で、電話越しで尋ねた。今自分が出せる声をめいいっぱい出す。
「……暖、私、有栖川」
『……ん? 和歌?』
「お、追い出されて……職場もやめることになって……働き場所もないし、行くところなくて……」
上手く説明ができない私に、
『ちょい、まてまて。今どこにいる? 迎え行くわ』
暖の喋り声と共に、ガチャガチャとドアが閉まる音が聞こえる。
「今……サウスエリアのショッピングモールの入口まで歩いてきたところ……」
『分かった。そこから絶対動くなよ。ついでになんか飯食べようぜ』
「う、うん……」
暖は私の泣いている理由は、さほど気にしていないようで、自分の空腹を満たすことで頭がいっぱいらしい。電話を切り、ショッピングモールの入口より端に座っていると、暖の車が駐車場に入ってくるのが見えた。
車を降り息を切らしながら、私服姿の暖が私の方へ走ってきてくれている。
服装はこの間のようなスーツ姿ではなく、ワイシャツのグレーの長袖と薄手の黒のパンツズボンというラフな格好をしていた。