腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー



 私の目の前に近寄るなり、屈んで息を整えている。


「――はあっ、大丈夫か?」

「うん、心配かけてごめん……」

「和歌に何もなくてよかった。そんな大荷物だったら、変に声かけてくるヤツもいるからよ」


 尚人は私がこの量の荷物を持っていても、見て見ぬふりをした。けれど、暖は違う。暖はこんなに心配してくれる。


「……私のこと大嫌いなはずなのに、顔も見たくないはずなのに迷惑かけてごめん」

「なんでそうなるんだよ、大嫌いだったら突き放してる」

「だって昔、ずっと口喧嘩してたし……」

「おまえは俺のこと嫌いだったかもしれないけどな、俺は……嫌いじゃなかった」


 耳を真っ赤にさせて顔を伏せる暖。

 ずっと嫌われていると思っていた。だから、目を合わせると突っかかってくるんだと思っていた。


「……ごめん、私、知らなくて。一方的に嫌ってた」

「うん、嫌われてると思ってた」

「でも、今は違うから。今は暖のこと尊敬してるし、と、友達になりたいって思ってるから……」



「俺はおまえと友達になりたいわけじゃない」

「……あ、ごめん。依頼人と弁護人って立場になるのにね」


 自惚れた。

 暖が心配してくれるから、優しいから、つい友達になりたいなどと、調子に乗ってしまった。


< 38 / 186 >

この作品をシェア

pagetop