腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


「依頼人と弁護人っていう立場だとも思ってねぇ。だって俺は、俺の欲のために、和歌に力が貸すだけだし。ほら行くぞ!」


 暖は私の大きなバッグとキャリーケースを手に持ち、私に「早く来い」と急かした。


「まって、暖! 私、自分で持つから!」

「こんな重いの持たせられるか! つーか、おまえ、こんな重いの持って、ここまで歩いてきたのかよ」

「……うん。タクシーなんて贅沢できないし」

「ハハッ。だとしてもすげぇわ。次からすぐ俺を呼べよ」

「……う、うん。ありがとう」


 暖が私に笑いかけている姿なんて初めて見た。暖の笑顔を見ると、心に光が射すように絶対的な安心感がある。


 暖には幸せになってほしい。

 私みたいに、不幸な道に進まないで欲しい。


 私の荷物を車のトランクに乗せた暖は、「なに食べたい?」と、私に質問をした。


「……ご飯は、いいや」


 暖と二人で食べるのは気が引けるため断ると、「腹減ってねぇの?」不満そうな顔を私に向けた。


「暖、食べてきていいよ。私、車にいるから」


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