つれない男女のウラの顔

成瀬さんが顔を赤くしたということは、少しは異性として見てくれているのかな。

本当はもっとお洒落をしたかったけど、急遽決まったデートだから、服もコスメも何も準備出来なかったのが悔やまれる。

まぁ元々インドアだから何がお洒落なのかもよく分からないし、そもそも男性が好むコーディネートなんて知らないけど。

それでも数少ないお出掛け用のワンピースを着て、髪も軽く巻いて、マスクも外して、自分なりにデートらしさを出したつもりだ。

今日の私は、成瀬さんの目にどう映っているのだろうか。


「ここから車で1時間くらい?」

「はい。海が見えるカフェがあったり、ローズガーデンや足湯もあるみたいで、緑も豊かで自然に囲まれた観光スポットらしくて…」

「うん、のんびり出来そうでいいな。ここに行こうか」


成瀬さんが慣れた手つきでナビを操作する。その指を見て、昨夜 映画鑑賞しながら手を繋いだことを思い出した。

今日も繋げるだろうか。でも、デート=恋人というわけではないから、わざわざ触れ合わなくてもデートにはなるし。

その前に目を見て話す練習をしようって言われるかな。まずは男性に慣れるところから始めなきゃいけないよね。私ってば、ほんと貪欲。


「花梨?」

「…あ、はい何でしょう」


ハッとして顔を上げると、成瀬さんは突然何か考えるような仕草を見せた。


「なんか堅苦しいな」

「えっ、そうですか?」


いつも通りのような気もするけど、私の緊張がだだ漏れなのかな。


「せっかくのデートだからもっと距離を詰めたいよな。そうだ、今日は呼び方を変えてみるか?」

「呼び方…ですか?」

「そう。俺のこと名前で呼んでみて」

「ええ?!」

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