つれない男女のウラの顔
こここここここれ、本当にデートみたいだ…!
成瀬さんの私を見る目が優しい。まるで恋人に向けるような視線が私を刺激してくる。
みんな普段からこんなことをしてるの?どうして普通の顔をしていられるの?
私のこの顔の熱がおさまる時はくるのだろうか。このままだとりんごやトマトを通り越して、梅干しのように干からびてしまいそうだ。
「なる…旭さんは、女性に免疫がないと仰ってましたが、実は慣れてます…?」
「え?」
運転する彼の横顔を見つめながら問いかけると、怪訝な表情をした彼の目が一瞬だけ此方に移った。
「どうしてそんなにも余裕そうなんですか」
「……余裕があるように見えるか?」
見えますよ。余裕しか感じられない。
これが冷徹男、成瀬 旭という男なのか。職場の彼とは違って無愛想ではないけれど、冷静に淡々と“デート”というものをこなしているからさすがだと思う。
それとも、私は成瀬さんに対して特別な気持ちを抱いているから、こんなにも余裕がないのだろうか。もし今となりにいるのが匠海くんだったら…もう少し落ち着いていられる?
ということは、成瀬さんに余裕があるのは、相手が私だからなのかも。やっぱり彼にとって私は妹みたいな感覚なのかもしれない。
「今日一日、私はテンパったままだと思うので…旭さんが冷静でいてくれて助かります。頼りにしているので、ご指導お願いいたします」
「…俺も結構余裕ないんだけどな」
「え?すみません、今何と…」
「スパルタでいくから、覚悟しといて」
「ひぇ!………がんばります」
お手柔らかにお願いします、成瀬さん。