つれない男女のウラの顔
ナビに従いながら車を走らせること1時間。あっという間に目的地に到着した。
その間も私達の手はずっと繋がれていた。時に離れることはあったけれど、自分の手を動かさずにいたら、成瀬さんは宣言通りすぐに繋ぎ直してくれた。
最初は緊張してそわそわしたけど、最終的にはそこに成瀬さんの手がないと落ち着かなくなっていた。彼の熱が離れると寂しくなって、戻ってくるとほっとした。
時間とともに彼に対する気持ちが大きくなっていくのがわかる。まだデートは始まったばかりなのに、このまま膨らみ続けたら最終的にはどうなってしまうのだろう。
そんな不安を抱えながら車を降りると、そこに広がる景色に思わず息を呑んだ。
街の喧騒から離れた観光スポット。
休日だけあって観光客がたくさんいるけれど、一面に広がる海に目を奪われ「きれい…」と無意識に声が漏れた。
「とりあえず昼食をとるか?」
「そうですね。海が近いので、海鮮丼が美味しいお店が何件かあるみたいですけど…旭さんは海鮮とお肉ならどちらが好みですか?」
「どっちもよく食べるが、せっかくだから海鮮にしようか」
「どっちもよく食べるのか……やっぱりベジタリアンってわけじゃないんですね」
「え?」
成瀬さんと初めて言葉を交わした肉バルでの、マイコとの会話を思い出す。
“成瀬さんでもこういう店に来るんだねー。お肉よりも野菜って感じなのに”
“どんなイメージなの。まあ確かに、彼がお肉にがっつく姿は想像出来ないけど”
あの時は成瀬さんのことを何も知らなかったから、彼がお肉を食べる姿をイメージ出来なかったけど。数日前にすき焼き弁当も食べていたし、今ならお肉にがっつく姿が想像出来るかも。
「…ふふ」
「何がおかしい?」
「いえ、こっちの話です」
「…へんなやつ」