つれない男女のウラの顔
「───見てください。とっても素敵な写真が撮れました」
カメラのディスプレイに映る私達は、手を繋いで、私が成瀬さんに寄り添うポーズをとっているからか、まるで本物のカップルのように見える。よく見ればちょっとぎこちないし、私の顔が若干火照っているけど、成瀬さんが絵になるお陰か、本当に良く撮れていた。
想像以上に素敵な写真を撮ってもらえたことに感動して、思わず見入ってしまう。
「僕の名刺です。DMいただければ、このデータをお送りしますので」
「ありがとうございます。宝物にします」
今日のデートが、データとして残ったことが嬉しい。この写真を見る度、このデートは夢じゃなかったんだと思えるから。
これから先、何度この写真を見返すだろう。
大切に保存しなきゃ。
「そんなに嬉しい?」
カメラマンの男性がいなくなったあと、成瀬さんに耳打ちされて、迷うことなく「はい」と答えた。
「嬉しいです。とっても」
暫く余韻に浸りながら足湯を楽しんでいたけれど、さすがに暑さに耐えきれなくなった私達は、次は海の見えるカフェに移動した。
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窓際のカウンター席に横並びで座り、静かに海を眺める。
正面に座るよりやっぱり落ち着く。彼のいる右側が少し熱い気がするけど、私はこの熱が好き。
「さっきは無理を言って写真を撮ってもらったりして、すみませんでした」
「いや、いいよ。京香の喜ぶ顔が見れたし」
わがままに付き合ってくれたのに、その口調は穏やかでほっした。今日の成瀬さんはどこまでも甘い。デートっていうだけで、まるで恋人に向けるような優しさをくれる。
「でも正直驚いた。京香も写真が苦手だと思ってたから」
「まぁ…得意ではないですけど…」
成瀬さんとだから、撮りたかったんです。