つれない男女のウラの顔
「旭さんどうしましょう。口説かれてしまいました」
「色々と不安になる発言ばかりだが、一体どんな教育を受けてるんだ…?」
旭さんは怪訝な表情をしながら小声で呟くと、一度席を立ち、男の子の目線に合うようにしゃがんだ。
「きみ、お父さんとお母さんはどこに行った?」
「おじさんだれ?けっこーイケメンだな!」
成瀬さんの質問を華麗にスルーして、しかも“おじさん”と呼んだその子は、私に向けた笑顔と同じようにニカッと笑う。
「…質問を変えようか。ひゆう君って言ったかな。何才だ?」
「5さい!」
「5才か。ちゃんと答えられて偉いな。で、お父さんとお母さんは…」
「オレのとーちゃんとかーちゃんもびけいだけど、おじさんとおねーさんもびけいだ!すげー!」
「おい質問に答えろよ」
なんだろうな。ちょっと生意気なんだけど、憎めなくて可愛い。屈託のない笑顔と、素直なところが愛しく思える。
それに振り回されている成瀬さんがまた面白くて、ちょっと可愛い。子供と戯れる成瀬さん…めちゃくちゃレアだ。
「なあなあ、おじさんとおねーさんは結婚してんの?」
「してるって言ったら、大人しく諦めて親のところに戻ってくれるか?」
「えー。オレはおねーさんのおっぱいがいいな」
「生意気なやつだな」
成瀬さんはそう言いながらも表情は穏やかで、男の子の頭を撫でながら笑っている。
もしかして子供の扱いに慣れているのだろうか。
職場にいる時の彼からは想像出来ないほど優しい表情をしているから、その目は私に向けられていないにも関わらずキュンとしてしまう。