つれない男女のウラの顔
もし成瀬さんと結婚して子供が出来たら、家庭の雰囲気はこんな感じなのかな。
いいな…想像しただけで幸せを感じる。
「おねーさん、オレと結婚しよ!」
「うん、する」
「おい」
ひゆう君の告白に即頷くと、すかさず隣からツッコミが入った。そのやり取りが面白くて、クスクスと笑いが零れる。
「軽率に引き受けるなよ」
「だって、こんなにもストレートに口説かれたのは初めてで…さすがにキュンとしちゃいました」
目の前で喜ぶ男の子を見つめながら「ひゆう君かっこいいね」と伝えていると、成瀬さんが突然私とひゆう君の間に割り込むように体を移動させた。
「ひゆう君。残念だけど、おねーさんは俺のお嫁さんだから」
「……へっ!?」
成瀬さんがとんでもない発言をするから、思わず間抜けな声が出た。
嘘だってことは分かっているけれど、成瀬さんの口から“お嫁さん”はパワーワード過ぎて、みるみる顔が熱くなる。
「えー。ぜったいオレのほうがいいよ。若いし!」
「若すぎるんだよ」
「イケメンになるぞ!」
「顔が良くても、好きな女を大事にできる男にならないと意味がないんだよ。ひゆう君はおねーさんをちゃんと守れるのか?」
「がんばる!」
ほんと生意気だな。そう呟いた成瀬さんは、ひゆう君の頭をくしゃくしゃと撫でながら破顔した。ひゆう君は「やめろよ」と言いながらも、嬉しそうに笑っている。
なんなのこのほっこりするやり取りは。何時間でも見ていられそう。