つれない男女のウラの顔

「可愛かったですね」

「若干将来が心配ではあるが…」


再び席につき、外を眺めながらコーヒーを飲む成瀬さんの横顔をチラッと盗み見る。

クールな成瀬さんも相変わらずかっこいいけど、ひゆう君と話をしている時の成瀬さんも結構好きだったんだけどな。もう子供をあやす成瀬さんを見られないのかと思うと、ちょっと寂しい。


「旭さん、もしかして子供の扱いに慣れてます?」

「慣れているというか、たまに甥の相手をするからかな」

「甥…!」


そっか、成瀬さんには甥っ子がいるのか。

ひゆう君にしていたように、きっと甥っ子の頭も撫でてあげているのだろう。ひゆう君に向ける笑顔も、その撫で方もとても自然だったから。
甥っ子と遊んでいる成瀬さんを想像しただけでニヤける。なんて幸せな世界なんだろう。


「お兄さん、ご結婚されているんですね」

「ああ、兄弟で結婚していないのは俺だけだ。姪と甥が3人いる。父親も孫にデレデレだよ」

「実は旭さんもデレデレだったりして」

「確かに可愛いが、会うとかなり体力を使うからな。子育ては大変だと、つくづく思うよ」


成瀬さんは自分の子供が欲しいとは思わないのだろうか。

ひゆう君とのやり取りを見て、成瀬さんは子育てに向いていそうに見えたけど…“子守り”と“育児”は別物だし、独身でいたいと思っているくらいだから、考えたこともないのかもしれない。


そんな成瀬さんの“お嫁さん”発言は純粋に嬉しかった。なにより、新しい成瀬さんを見ることが出来て胸がいっぱいだ。

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