つれない男女のウラの顔
「京香の魅力はまだ他にもいっぱいあるぞ。ご飯を美味しそうに食べるところとか、手が綺麗なところとか、家族思いなところとか、料理が上手いところとか、すぐ昼寝するところとか、寝顔がかわい…」
「ちょ、ちょっと。もういい、恥ずかしいよ」
顔を赤くしながらも涙が止まらない。匠海くんの優しさに胸を打たれて、泣き止むどころか嗚咽が漏れる。
「だから自信持て。遠くから応援してるから」
匠海くんのあたたかい言葉に、私は何度も首を縦に振った。
「うん…ありがとう」
「この俺を振ったんだから、幸せになれよ。でももしフラれたらいつでも言ってな。その時は俺が嫁にもらってやるから」
匠海くんはそう言って悪戯っぽく笑うと、オムライスをかき込むように食べ始めた。うま、と呟きながら「京香も早く食え」とナポリタンを指さすから、私もフォークを手に取った。
匠海くん、本当にありがとう。幼い頃から、数え切れないほど私を支えてくれて。そして大人になった今でも、こうして背中を押してくれて。
友達は少ないけど、こんなに素敵な幼なじみがいて、私は本当に幸せものだ。匠海くんがいてくれたから頑張れたことが、いっぱいあるんだよ。
だから成瀬さんにもちゃんと向き合うから。後悔しないように頑張るから。
「もう泣くな。俺が泣かしたみたいでなんか嫌なんだよ。いや、俺が泣かしてんのか」
「ゔぅっ…ごめん、頑張って泣き止む…」
ハンカチでごしごし顔を拭いた。きっとメイクはボロボロだ。
匠海くんはそんな私を見て「ひでー顔。可愛いけど」とけらけら笑った。
「京香、俺はこれからも、お前の幼なじみでいていいか?」
「え…?」
なにその質問。そんなの、考えなくたって答えは決まっている。
「何言ってるの、当たり前だよ」
「じゃあ、何かあったら俺のことも頼ってくれる?」
「…頼っていいの?」
「うん、京香にとって、一生いい男でいたいからな」
ドヤ顔でそう言った匠海くんに、私も思わず顔が綻んだ。
「おばさんには後で俺が連絡しとく。なんであんないい男フッたのーって責められても知らないからな」
「…うん、覚悟はしてる」
「はは、冗談だよ。俺よりもっといい男見付けたから心配すんなって、胸張って伝えろよ。そしてその男と上手くいったら、すぐに俺に報告して。幼なじみとして、ちゃんと祝ってやるから」