つれない男女のウラの顔
「そうです。毎年この時期になると、同期でビアガーデンに行くんです。だけど私は今まで一度も参加したことがなくて」
「……」
「コミュ障だし、このコンプレックスもあるので断り続けていたんですけど、今年は思い切って参加してみようかと思って。その理由は、旭さんと出会って、このコンプレックスが前より好きになったからで…旭さんとお揃いだと思うと嬉しくて…」
先ほどまで矢継ぎ早に言葉を紡いでいた彼が、急に大人しくなった。
私の手を取ったまま、何か考えているのか静かに私を見下ろしている。
「新しい世界を見てみようかなと思えたのは、成瀬さんのお陰なんです。と言っても、やっぱり私にはまだハードルが高いのか、浮気くんと少し話すだけでも疲れちゃって…だけど、いまサプライズで旭さんに会えたのでかなり回復しました」
成瀬さんの力は凄いと、改めて思う。この一瞬で満たされたのだから。
だけどそれは私だけなのか、成瀬さんの表情は未だに険しい。もしかして同期会に参加してほしくないのだろうか。
浮気くんが言っていた。嫌がる相手もいるって。成瀬さんも、そのひとりなのかも。
「でも成瀬さんが嫌な気持ちになるなら、参加しません。マイコも無理はしなくていいって言ってたし…」
「いや、あいつとふたりきりでないのなら、それでいいんだ。早とちりをして悪かった。京香を縛りつけたいわけじゃないから、行っておいで」
成瀬さんが私の手を撫で、指を絡ませる。途端に熱を帯び、心臓が激しく音を立てる。