つれない男女のウラの顔
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成瀬さんの部屋で夕食を食べ終え、ふたりでソファに座ってのんびりしていると、ふいに成瀬さんが私の唇を塞いだ。
成瀬さんって、やっぱりキスが好きなんだと思う。まぁ私も成瀬さんのキスが好きなんだけど。
「京香の手料理、どれも美味しかったよ。ご馳走様」
「お口に合ったようでよかったです」
「京香はいいお嫁さんになりそうだな」
“お嫁さん”という言葉につい反応してしまったのは、あのデートの練習の日のことを思い出してしまったからだ。
“ひゆう君。残念だけど、おねーさんは俺のお嫁さんだから”
あの時、偽物だとしても成瀬さんのお嫁さんになれたことがすごく嬉しかったのを覚えている。しかもその言葉が成瀬さんの口から出たことが幸せだった。
本当に彼のお嫁さんになれる日がくるだろうか。ひゆう君のご家族みたいに、明るい家庭を築けるだろうか。
いやでも、子供を授かるにはまずアレ問題を解決しなくては…。
ちなみに、先ほど成瀬さんに振舞った夕飯は“精力を増強させる食材”を使った献立だった。牡蠣、アボカド、オクラ、ほうれん草をたくさん使った。
昨日匠海くんから受け取った母からの手土産の中に、ご近所さんから貰ったらしい夜のお菓子と呼ばれる“うなぎパイ”も入っていたから、それも成瀬さんにおすそ分けしようか迷ったけどさすがにやめておいた。
「ひとりの時間が好きなはずだったのに、いまは京香といる時間の方が落ち着く」
再び成瀬さんのキスが落ちてくる。
今日は最後まで出来るだろうか。