つれない男女のウラの顔

「あの、旭さん…」


唇を離し、骨ばった男らしい手で私の熱を帯びた頬に触れながら愛しそうな目で私を見る彼に声を掛ける。

「うん?」と首を傾げた成瀬さんが優しく目を細めるから、きゅっと胸が締め付けられた。

職場では見ることの出来ない彼の表情は、何度も見ても胸がときめく。


「その…体が火照ったり、してません?」


遠回しに「精力増強メニューの効果はどうですか?」と尋ねてみた。けれど彼は「急にどうした?」と怪訝な表情を浮かべる。


「もしかして俺の顔、赤くなってるか?京香にこうして触れるのはだいぶ慣れてきたから、俺的には赤くなってないと思っていたが」

「いえ、そういう意味では…」


どうやら彼は私の質問を違う意味で捉えたらしく、自分の顔を触って確かめている。

その仕草が可愛くて、再び胸がきゅうっと締め付けられた。

うん、やっぱり食べ物で解決できる問題ではなさそうだ。マイコの言う通り、変な小細工なんてするべきじゃなかった。


「そういうば、京香が言ってた同期会っていうのはいつの予定?」

「えっと、確か来週の火曜日だったような…」

「またど平日に開催されるんだな」

「予約がいっぱいでその日しか取れなかったみたいです」

「なるほどな。昼間は変なことを言ってしまったが、楽しんでおいで」


成瀬さんはそう言って、私の横髪を撫でたかと思うと、再びキスを落とした。


楽しんでおいで…か。ちょっと寂しいと思ってしまうはワガママなのだろうか。

嫉妬してもらえるのって、結構嬉しいものなんだな。でもそう思うのも、付き合い始めだから…?
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