つれない男女のウラの顔
「…浮気くんに気をつけろ、とはもう言わないんですか?」
「……言いたいよ。でも俺ももういい歳なんだ。さすがにそんな発言ばかりするのもどうかと思って、あの後反省した」
それなのにどうして言わせるんだよ。そう続けた成瀬さんは、少し不貞腐れたような顔で私の頬っぺを指で摘む。
「お互い成長しあえるような関係でいたい。そうでないと、いつか会社の人たちに知られた時に、祝福されないだろ?俺は京香の足を引っ張りたくはないから」
私が成瀬さんの足を引っ張ることがあっても、成瀬さんが引っ張ることは絶対にないと思うのに。成瀬さんなりに先を見据えてくれているのが伝わってきて、胸が熱くなった。
成瀬さんの大人で冷静なところ、本当に尊敬する。
でも、私達の関係が会社の人達にバレる日はくるのだろうか。
正直想像が出来ないし、成瀬さんファンの人達の目が怖いけど…いつまでも隠し通せる保証はない。
「私達の関係がバレることに、抵抗はないんですか?」
「ないよ。むしろ隠す必要があるか?同じ部署ならまだしも、仕事に支障はないだろうし。まぁ好奇の目を向けられるのは鬱陶しいかもしれないが」
“ないよ”とはっきり言ってくれたのが、なぜかすごく嬉しかった。といっても、自分から言いふらす勇気はないし、暫くは秘密にしておこうと思うけど。
「…旭さん、かっこいい」
今度は自分から唇を重ねた。下手くそで不器用なキスだけど、それを受け止めたあと嬉しそうに顔を綻ばせた彼を見てほっとした。
成瀬さんが好き。もっと成瀬さんに触れたい。
その願いが通じたのか、今度は成瀬さんが私の唇を塞いだ。