つれない男女のウラの顔
何度も落ちてくるキスはとても心地よかった。ずっとこうしていたいと思った。この気持ちが伝わってほしくて、彼の首に手を回し、時折自分からも唇を重ねた。
啄むようなキスから深いキスに変わるまで、そんなに時間はかからなかった。成瀬さんの舌が割って入ってきた瞬間、ぞくりと身体が震えて、自然と吐息のような声が漏れた。
自分のものとは思えない甘い声は、昨日も散々零してしまったから、今更成瀬さんも驚かないとは思うけど。この声が成瀬さんの耳に届いているのかと思うと恥ずかしくて、全身が熱い。
「京香」
耳元で名前を囁かれ、耳朶を甘噛みされた。分かりやすく身体が反応したからか「耳、弱いのか?」と甘い声で尋ねてくる。
「わ…かりません…ぜんぶ、旭さんが初めてなので…」
必死に言葉を紡ぐと、成瀬さんは「そうだよな」と微笑みながら私の頭を撫でた。その手のぬくもりがまた心地よくて、その包み込むような優しさに、つい甘えたくなってしまう。
「まだ、わからないことがいっぱいなんですけど…でも、もっと触れてほしいって、思ってます…」
「…え?」
「旭さんに触れられるのが、好きなんです…だから、や…やめないで…って思ってしまうんです…」
精一杯のアピールだった。今日は途中でやめないでほしいという願いを込めた。
──今日こそ、成瀬さんに届くだろうか。