つれない男女のウラの顔
“大事にしたい”“今すぐにでも抱きたい”“自分がどうなるのか、想像出来ないのが怖い”
成瀬さんから放たれたのは、予想していなかった言葉ばかりだった。
「京香は気付いていたか?あの時、身体が微かに震えていたことに」
「え…そうなんですか…?」
「京香が怖がっていると思った。欲のまま突っ走り過ぎたと後悔した。でもそれが逆に京香を傷付けていたとは思わなかった」
成瀬さんは私を腕の中に閉じ込めると、耳元で「ごめんな」と囁いた。
確かにあのとき少しだけ怖かった。緊張で体はガチガチにかたまっていた。だけど自分が震えていたことには気が付かなかった。心は成瀬さんを求めていたからだろうか。
けれど成瀬さんは、私のその微かな変化に気付いてくれた。私のためを思って途中でやめてくれたのに、私は抱かれなかった理由を完全に変な方向に……。
「あのあと、旭さんが“ごめんな”って言った理由は…」
「怖がらせてごめんって意味だ」
「私はてっきり、興奮出来なくてごめんっていう意味かと…」
「なんでそうなるんだよ。それは心配されなくても、充分反応してたから」
そ、そうだったの…?
てことは、精力増強メニューなんて考えなくてよかったんだ。
「言っただろ。何でもスマートにこなせると思われがちだが、そうじゃない。京香のことになると余裕がなくなる。いつだって京香に触れたくて仕方がないし、一度触れてしまうと歯止めがきかなくなる」
「でも、私も言いましたよね。私しか知らない旭さんの姿を見たいって。私のことを大事にしてくれているのは伝わりましたし、そこは本当に嬉しいです。でも、全部受け止める覚悟は出来てます。遠慮なんてしてほしくない、欲のまま触れてほしいです……わっ!」
言い終えたと同時にソファに押し倒された。
熱を孕んだ瞳と視線がぶつかって、思わず息を呑んだ。