つれない男女のウラの顔
「元々コミュ障な上に、今までなるべく男性と関わらないように生きてきたので、向かい合うと緊張しちゃって…」
「…関わらないようにしていたのは、その体質が原因?」
「はい…おっしゃる通りです」
「言ってたもんな。苦労してきたって」
“…成瀬さんは人付き合いが苦手ですか?”
“そうだな。得意ではない”
“私も苦手です。すぐに赤くなっちゃうこの顔のせいで、色々苦労もしてきたし”
成瀬さん、あの時の会話を覚えていてくれたんだ。
「幼い頃は顔が赤くなるとクラスの男子にからかわれたので、そこから少しずつ男の人が苦手になっていって…」
「俺もよくからかわれたから、気持ちは分かる」
「成瀬さんでもそういった経験があるんですね」
成瀬さんが赤面する回数は私に比べるとかなり少ないイメージだけど、昔は違ったのかな。彼がからかわれているところなんて想像出来ないけど、この人もまた、色々なことを乗り越えてきたのかもしれない。
「あと、男性と話している時に赤面すると、惚れてるって勘違いされちゃうんですよね。しかもそれを見た周りの女子達には、あざといって言われるし…」
「だから会社でも男からの誘いを断っているのか」
「昔からの癖が抜けなくて。ただ単にコミュ障だからっていうのもありますけど」
親にも言えなかった過去の経験を、なぜかこの人には言えてしまう。こんな暗い話を聞かされても困るだけなのに、真摯に向き合ってくれる成瀬さんは優しい。
そういえば成瀬さんも会社で女性を一切寄せ付けないって言われているけど、彼も私と同じような理由で女性を避けているのだろうか。
態々聞き出したりなんかしないけど、ちょっとだけ気になる。だって、私が成瀬さんにしてもらっているように、少しでも彼の心に寄り添いたいから。