傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~
「……はぁ」

 会議室に着いた私は、既に席に着いていた館林さんの隣の席に座るや否や、無意識に溜め息を吐く。

「お疲れ様、大変だね、焼きもち妬きの彼氏が同じ職場だと」

 そんな私に声を掛けてきた館林さんはどこか楽しそうに笑う。

「わ、笑い事じゃないですよ……」
「まあ、彼は彼なりに心配してるんでしょ」
「それはそうかもしれないですけど……」
「とにかく、今は彼の事より仕事を頑張ろうよ。ね?」
「そうですよね」
「俺はまだまだ半人前だから、頼りにしてるよ」
「館林さんはもう充分一人前に仕事が出来ると思いますよ」
「キミにそう言ってもらえるのは嬉しいなぁ」
「――悪いな、二人とも。それじゃあ打ち合わせ始めるか」

 館林さんと話をしているさなか、少し遅れて部長がやって来た事で会話は中断され、仕事の話をする事に。

「今回、相手は関西に拠点を置く企業ということで、まあ毎回直接顔を合わせての打ち合わせは難しいから、普段の打ち合わせはオンラインになる。けど、初回はやはり顔合わせも兼ねて直接会う方が良いだろうから、先方と都合のつく日を調整してお前らには現地に行ってもらうからそのつもりでな」

 そして、普段の打ち合わせはオンラインで進めるけれど顔合わせは直接という事になり、まだ日にちは未定だけど館林さんと関西へ行く事になってしまった。

(……はあ、この話聞いたら一之瀬、俺も行くとか言い出しそう……困ったなぁ)

 仕事だから出張もあるし、それが男女の組み合わせというのも過去何度かあった。

 まあ大体その日のうちに帰って来れるからそこまで問題は無いけれど、一之瀬からすれば、自分以外の……しかも、ライバル視している異性と私が他県に行く事を良く思うはずもない。

(話すの、気が重いなぁ……)

 結局、一之瀬の反応を考えてばかりで打ち合わせに集中出来ず、気付けば終わっていた。

「本條さん」
「は、はい?」
「今回の事、色々大変だとは思うけど……俺としては物凄くチャンスだと思ってるから。これから宜しくね」
「…………」

 そして、会議室を出る間際に館林さんから言われた言葉を聞いた私は、今後の事を考えれば考える程気が重くなり、苦笑いを浮かべるしか無かった。
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