傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~
「……來未(くみ)

 私と一之瀬の前に現れたのは、私たちと同い年くらいで、私よりも背が少し低めでパッチリ二重、目鼻立ちも整っていて肌も白い、とても可愛らしい女の子。

 一之瀬も彼女を名前で呼んでいるところから、二人が何らかの親密な関係であると分かる。

(この子って……もしかして……)

 どこか気まずそうな顔をしている一之瀬に、私の事が気になるのかチラチラと視線を向けてくる彼女。

 そんな中最初に口を開いたのは――

「久しぶりだね、丞くん。元気だった?」

 愛らしい笑顔を浮かべた彼女――來未さん。

「あ、ああ。久しぶりだよな、本当。俺はまあ、見ての通り……変わりねぇよ」

 そんな彼女の言葉に頷きながら『久しぶり』と続けて会話をしていく一之瀬。

 すっかり蚊帳の外となった私がその場に立ち尽くしていると、

「……えっと、こちらの方は?」

 気を遣ってくれたのか、來未さんが私にも会話に入る隙を作ってくれる。

 彼女に私の事を問われた一之瀬は、『あー、コイツは――』と前置きをすると、

「同じ職場で働く同期の本條だよ」

“彼女”では無く、“同期”だと來未さんに紹介した。

 そりゃ、仮だし、同期っていうのも間違いじゃ無いけど……だけど、てっきり一之瀬なら“彼女”だと紹介してくれるんじゃないかと密かに期待していた私。

 それだからなのか、一之瀬の口から“同期”という言葉が出て来た事がショックだった。

「は、初めまして、本條 陽葵です。えっと、來未さん……と一之瀬って、どういう……」

 ショックだったけど、いつまでも黙ったままという訳にはいかないと作り笑顔を浮かべた私は自身で名乗り、二人の関係を確かめようと問い掛けると、

「こちらこそ初めまして、私は津久井(つくい) 來未(くみ)です。丞くんとは……大学が一緒で仲良くさせてもらっていました」

 一之瀬に向けていた愛らしい笑顔を私にも向けながら名乗ってくれて、二人が大学時代に交流があった事を教えてくれた。
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