傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~
SCENE5
「それじゃあ明日は頼むぞ。お前たち二人なら問題無いと思うが、くれぐれも、失礼のないようにな」

 クライアントとの顔合わせを明日に控え、私は部長と館林さんの三人で明日の為の最終打ち合わせをしていた。

 明日は先方の都合で夕方から会う事になっていて、私と館林さんは余裕を持って午前中から向かう事になっている。

 あの日以降、一之瀬は宣言通り私を信じてくれているみたいで館林さんに突っかかっていくことはない。

 まあ、面白く思っていないのは相変わらずのようで愚痴はこぼしてくるけれど、一之瀬は一之瀬なりに我慢してくれているのが分かって、私はあの時きちんと話して良かったと思った。

「本條さん、明日はよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

 会議室を出て営業部のフロアへ戻る道すがら館林さんと会話を交わしていると、ちょうど外回りから戻って来た一之瀬がエレベーターで上がって来たところに出会(でくわ)した。

「一之瀬くん、お疲れ」

 私が声を掛けるよりも先に館林さんが一之瀬に労いの言葉を掛けてしまう。

 それを聞いた一之瀬は案の定、嫌そうな表情を全面的に出しつつ、あからさまな作り笑顔を浮かべ、

「お疲れっす」

 軽い感じで挨拶を返した。

 何だか一触即発しそうな雰囲気だけど、この場合基本一之瀬さえ余計な事を言わなければ何も起きない。

 ヒヤヒヤしながら行方を見守っていると、

「それじゃあ、俺は先に戻るよ」

 空気を読んでくれたのか、気を遣ってくれたのか館林さんは先に戻ると私たちをその場に残して去って行った。

 そんな彼の背を見送っていると、

「アイツ、マジで性格悪いよな。本当ムカつく。何で陽葵よりも先に声掛けてくんだよっての。絶対わざとだよな……」

 不満気な顔をしながら一之瀬は文句を垂れていた。
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