傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~
 買い物を終えて店を出た私たちは、互いの手をギュッと握りしめながら自宅までの道を歩いて行く。

 スーパーの袋は一之瀬が持ってくれて、ふと気が付くと一之瀬が車道側を歩いてくれていた。

 そんな何気無い事だけど、私はそれが何だか嬉しくなった。

 自宅に着き、一之瀬が先に部屋へと入り、私が後から入る。

 鍵を閉める為に先に靴を脱いでいる一之瀬に背を向けていると、

「――ッ! ちょ、一之瀬?」

 スーパーの袋や鞄を置いたらしい一之瀬が急に私を後ろから抱き締めてきた。

「陽葵」
「――ッん、」

 そして、首筋辺りへ顔を近付けてきて名前を呼んでくる彼の吐息が掛かって、擽ったさを感じた私は思わず声を上げていた。

「……丞」
「ん?」
「こんなところで、こういう事は……」
「駄目?」
「そ、そりゃあ、駄目に決まってるでしょ?」
「じゃあリビングならいいんだ?」
「そ、そーいう事じゃなくて……」
「いーだろ? 少しくらい。さっきスーパーでの陽葵が可愛かったから、ずっとこうしてくっつきたかったんだよ。もう少しだけ、こうさせて」
「……もう……」

 そんな風に言われてしまうとそれ以上言い返せなくて、私もこうして抱き締められるのは嫌じゃ無いけどやっぱり素直になるのはちょっと恥ずかしいから、「仕方ないなぁ、少しだけだからね」なんて少し可愛くない返しをしつつ、一之瀬の温もりを感じていた。

 それから少しして、私がご飯を作っている間に一之瀬にはシャワーを浴びてもらう事に。

 一之瀬からリクエストされたのはハンバーグ。

 正直言うと、ハンバーグなんて作るのは久しぶり。

 昔元カレに作ったのが恐らく最後。

 しかもあの頃はあまり上手く出来なくて、そんなに良い思い出は無かったのだけど、せっかく一之瀬がリクエストしてくれたのだから頑張ろうと気合を入れて調理に取り掛かった。
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