傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~
 こうして好きな人の為に料理を作る、それだけで、何だかワクワクする。

 一之瀬は喜んでくれるかな? とか。美味しいって言ってくれるかな? なんて想像しながら作っていると、自然と笑顔になっていく。

 料理開始から暫く、丁度焼き始めたタイミングでシャワーを終えた一之瀬が戻って来た。

「お、すげぇ美味そうな匂いがする」

 リビングに入るなり嬉しそうな表情を向けながらこちらへ近付いて来る。

「もう少しで出来るから、座って待ってて?」
「えー、それだと退屈なんだけど」
「退屈って……そんなに時間が掛かる訳じゃないんだから――」

 ハンバーグを焼きながら隣のコンロでコンソメスープの仕上げに取り掛かっていた私のすぐ側までやって来た一之瀬。

 座って待っててと伝えたら退屈だと文句を垂れた直後、後ろから抱き締められた。

「ちょ、一之瀬! 危ないよ?」
「何もしねーよ。ただこうしてるだけ」
「そ、そういう問題じゃ……」
「いいだろ? つーかさぁ、こんな風に好きな人が俺の為にご飯作ってる姿を目の当たりにしたら、可愛過ぎて我慢出来ねぇっての」
「……ご飯作る姿なんて、別に可愛くなんてないよ……」
「分かってねぇなぁ。男からしたら、こういうシチュエーションってすげぇそそられるんだぜ?」
「……そういうもの?」
「そうだよ」

 正直、一之瀬の言い分はよく分からない。

 元カレに作った事はあったけど、そんなの言われた事も無かったし。

 だけど、そう言われるのは嬉しい。

 私だって、料理はちょっと面倒だなって思うけど、好きな人の為なら頑張りたいって思えるし、喜ぶ顔を見るのは嬉しいから。

 結局一之瀬はご飯が出来上がるまで私にくっついて来ていたのだけど、本音を言えば、それが凄く嬉しかった。

 それと同時に、今度は二人で一緒にご飯を作ったりもしてみたいなと、密かにそんな憧れを抱いていた。
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