傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~
「いただきます!」
「どうぞ召し上がれ」

 料理を終え、一之瀬も手伝ってくれて食卓を整えた私たちは向かい合わせに座ってご飯を食べ始めた。

『いただきます』の挨拶をした一之瀬は早速ハンバーグに箸を持っていく。

 そんな一之瀬の様子を見守る私。

 どんな感想が出てくるのかドキドキしながら待っていると、一口食べた一之瀬の表情が綻ぶのを見て、私はホッとする。

「うん、美味い!」
「そう? 良かった」
「陽葵、料理上手いんだな」
「いや、そんな事ないよ、人並み程度だよ」
「そんな事ねぇって。これ本当美味いし!」

『美味しい』と言いながらどんどんハンバーグを口に運んでいく一之瀬。

 こんな風に褒められ慣れてない私はどんな反応をすればいいのか分からなくなる。

「スープも美味いしさ、やっぱり陽葵って料理上手じゃん」
「も、もう……そんなに褒めてくれなくていいよ……」
「いや、だってさ、本当に美味いんだもん、何度でも言いたくなるって」
「……ありがと……。でも、そんな風に褒められた事なんて無かったから、何だか恥ずかしくて……」
「マジかよ? 元カレとか、何も言って来なかった訳?」
「う、うん……。まあ、美味しいとは言ってくれたけど、それだけだったよ。丞みたいに褒めてくれたりはしなかったもん……」

 元カレの話なんてするべきか迷ったものの、一之瀬から聞いてきたならいいかと正直に答えると、

「本当、お前の元カレってどうかしてる。こんなん、嬉しくて何度でも褒めたくなるっつーの」

 そんな反応は有り得ないといった表情を浮かべては、再びハンバーグを食べ始めた。

 初めこそ褒められると恥ずかしくてどうすればいいのか分からなかったけれど、暫くすると、きちんと言葉にしてもらえるのは嬉しいなと思えるようになっていき、こうして褒めてもらえるのも悪くないなと思えて自然と笑顔になれた。


 食事を終えると、食器を洗おうとしていた私に一之瀬は、

「俺が洗っとくから、陽葵は風呂入って来いよ」

 自分が食器を洗うから、私にお風呂へ入るよう言ってくる。

「え? いや、でも……」
「飯作ってくれたお礼だよ。片付けくらい、俺だって出来るからさ」

 一之瀬の申し出は有り難いけど、彼はあくまでもお客様な訳で、そんな一之瀬に片付けをお願いするのは何だか気が引ける。

 私が何に悩んでいるのか気付いたらしい一之瀬は、

「つーか本音を言うと、俺は早く陽葵とゆっくり寛ぎたいの。だから早く風呂、入って来てよ。風呂は後で良いってならそれでもいいけど……それだと入れるの、いつになるか分からねーよ?」

 これ以上私が遠慮しないよう、茶化すような口ぶりでそんな言葉を口にした。
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