猫は口実
会話が落ち着いた後、お互いに追加のドリンクを注文した。
それらが席に運ばれてきたタイミングで、気になっていたことをいくつか尋ねてみることにした。
『今も学習塾のお仕事をやっているんですか?』
『いや、その仕事はもう。半年くらい前に。ちょうどフジノさん達とお会いした、バーベキューの時期に辞めました。』
『そうだったんですね。転職されたんですか?』
『実は…。これを見てください。』
そう言う彼から、スマートフォンの画面を見せてもらった。
するとそこには、飲食店の店内と思われる写真が映されていた。
アンティーク調の置物や椅子が並ぶ、オシャレな空間だった。
壁には、見たこともない模様の掛け軸?みたいなものがぶら下げられている。
『これは…?』
『最近、このお店を出したんですよ。って言っても、僕は裏方です。実際に料理を提供するのは、他のスタッフでして。』
『えー、すごい!オシャレですね!何屋さんなんです?』
『多国籍料理です。このお店を開く前、何をやるかを他のスタッフ、友人でもあるんですがね。彼らと相談したんです。でも、まとまらなくて。それで、じゃあ多国籍料理にしちゃおうって。』
『全部やっちゃえってことですね。おもしろそう!』
『スタッフの中に、若い時世界中を回った奴がいまして。そいつがいるし、なんとかなるだろうってことで決まりました。』
『そのスタッフの方もすごいですね!』
『ほんと、すごい奴ですよ。近いうちに、2店舗目を出そうかってなっている状況だから、楽しみなんです。良かったら、フジノさんも来てください!』
『ぜひ!行ってみたいです!』
私がこの人に会おうと思えた理由が、今少しだけ分かった気がした。
カリタさんは、強いエネルギーを持っている人だ。
単純に経営の知識があったとか、そういうことは置いておいて。
自分が好きなものを詰め込んだ店を出すなんて、簡単にできることじゃない。
しかも、他の人の手をちゃんと借りて実現させている。
そんなエネルギーに引かれたんだろうって、勝手に納得した。
納得したついでに、猫の件も勢いで聞いておきたい。
『あ、あとそうそう。カリタさんも結構飲んでたし。覚えているか、分からないんですけどね。』
『えぇ。』
『以前お会いした時、ずっと『猫を見ている時だけがほんとの俺〜』って、言ってましたよね?繰り返し言ってたから覚えてるんです。あれ、なんなんですか?』
『いやー、お恥ずかしいです。覚えてませんね。』
『覚えてないんですか?ずっと、ずーっと言ってましたよ!』
『あ、でも、俺めっちゃ言いそうだな。猫、好きなんですよ。ほら、これ。』
『かわいいですね!2匹いる!飼ってるんですか?』
『その通りです。これは自宅で撮ったやつです。フジノさんも猫お好きですか?』
『大好きですよ!昔、実家で飼ってたんです!今はもう飼ってないんですけどね。1人ですし。お世話大変かなーって。』
『確かに。よかったら、ウチくる?この子たちに会えるよ?』
『えっと…。』
もう少し仲良くなってから…、なんて言って留めておける相手ではないと予感している。
そして、手を離すのは惜しいと思ってしまった。
楽しい時間を過ごしてはいるけど、この人が悪い人かどうかって、結局分からないままだ。
駆け引きとかそういうのは好きじゃない。
お酒、久々に猫と遊べる、色々と免罪符的なものは用意されている。
後は自分が乗るか乗らないか。
なんかこういうの久しぶりだなって思った。
それらが席に運ばれてきたタイミングで、気になっていたことをいくつか尋ねてみることにした。
『今も学習塾のお仕事をやっているんですか?』
『いや、その仕事はもう。半年くらい前に。ちょうどフジノさん達とお会いした、バーベキューの時期に辞めました。』
『そうだったんですね。転職されたんですか?』
『実は…。これを見てください。』
そう言う彼から、スマートフォンの画面を見せてもらった。
するとそこには、飲食店の店内と思われる写真が映されていた。
アンティーク調の置物や椅子が並ぶ、オシャレな空間だった。
壁には、見たこともない模様の掛け軸?みたいなものがぶら下げられている。
『これは…?』
『最近、このお店を出したんですよ。って言っても、僕は裏方です。実際に料理を提供するのは、他のスタッフでして。』
『えー、すごい!オシャレですね!何屋さんなんです?』
『多国籍料理です。このお店を開く前、何をやるかを他のスタッフ、友人でもあるんですがね。彼らと相談したんです。でも、まとまらなくて。それで、じゃあ多国籍料理にしちゃおうって。』
『全部やっちゃえってことですね。おもしろそう!』
『スタッフの中に、若い時世界中を回った奴がいまして。そいつがいるし、なんとかなるだろうってことで決まりました。』
『そのスタッフの方もすごいですね!』
『ほんと、すごい奴ですよ。近いうちに、2店舗目を出そうかってなっている状況だから、楽しみなんです。良かったら、フジノさんも来てください!』
『ぜひ!行ってみたいです!』
私がこの人に会おうと思えた理由が、今少しだけ分かった気がした。
カリタさんは、強いエネルギーを持っている人だ。
単純に経営の知識があったとか、そういうことは置いておいて。
自分が好きなものを詰め込んだ店を出すなんて、簡単にできることじゃない。
しかも、他の人の手をちゃんと借りて実現させている。
そんなエネルギーに引かれたんだろうって、勝手に納得した。
納得したついでに、猫の件も勢いで聞いておきたい。
『あ、あとそうそう。カリタさんも結構飲んでたし。覚えているか、分からないんですけどね。』
『えぇ。』
『以前お会いした時、ずっと『猫を見ている時だけがほんとの俺〜』って、言ってましたよね?繰り返し言ってたから覚えてるんです。あれ、なんなんですか?』
『いやー、お恥ずかしいです。覚えてませんね。』
『覚えてないんですか?ずっと、ずーっと言ってましたよ!』
『あ、でも、俺めっちゃ言いそうだな。猫、好きなんですよ。ほら、これ。』
『かわいいですね!2匹いる!飼ってるんですか?』
『その通りです。これは自宅で撮ったやつです。フジノさんも猫お好きですか?』
『大好きですよ!昔、実家で飼ってたんです!今はもう飼ってないんですけどね。1人ですし。お世話大変かなーって。』
『確かに。よかったら、ウチくる?この子たちに会えるよ?』
『えっと…。』
もう少し仲良くなってから…、なんて言って留めておける相手ではないと予感している。
そして、手を離すのは惜しいと思ってしまった。
楽しい時間を過ごしてはいるけど、この人が悪い人かどうかって、結局分からないままだ。
駆け引きとかそういうのは好きじゃない。
お酒、久々に猫と遊べる、色々と免罪符的なものは用意されている。
後は自分が乗るか乗らないか。
なんかこういうの久しぶりだなって思った。