学校イチ人気者なアイドルに恋する私。を、なぜかそのお兄さんが愛してくるんだが。




ほら、優しいんだよこのひと。

だからたとえ相手が同性だったとしても同じことだよ───私にはこう聞こえて仕方ない。



「あっ!お兄ちゃんとりっちゃん!ふたりも一緒だったのー?」



そして家の前。

ふたつの影があると思えば、それは真琴と上鷹先輩のものだった。


片方は気づくと、すぐに腕をぶんぶん振ってくる。



「じゃあ俺はこれで。また連絡する、…真琴」


「えっ、あっ、今日はすごくすごく楽しかったですっ!」


「…俺も。また明日」



いつの間にか名前で呼ぶようになって、いつの間にかあたまを撫でている。

私だけだと思っていた特別を、上鷹はものの3日で越してくるんだろう。


どこからどう見ても彼氏と彼女になっているそいつらをできるだけ見ないようにした。



「…律、」



真琴と挨拶を終えてから玄関のドアを開けようとした私を引き留めてくる、何回目かの呼び捨て。



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