君と二度目の恋に落ちたら
今日の2時間目は体育だった。

前野くんが6組だということが判明した今、彼の姿を体育館の中で探さずにはいられなかった。

始業のチャイムが鳴る数分前の体育館ではまだ整列がされておらず、わらわらと人が動いている。人を探すのは少し困難だった。

「今日の体育、フォークダンスの練習するらしいよ」

少しきょろきょろして意識がほぼ人探しに向いていたので、もかの発言が頭に入ってこなかった。

「え?あ、なんて…?」

焦ってもかの方を向いて聞き返すと、もかは笑って「もう、いじらしいな~」と言った。人を探していたこと、そしてそれが誰なのかはさすがにお見通しだったようだ。耳が熱くなるのを感じた。

「今日の体育はフォークダンスするらしいよって言ったの」

「あ、フォークダンス…」

それまた古風なことをするんだなと思った。

「部活の先輩から聞いたんだけど、文化祭の最終日にフォークダンスするのがこの学校の伝統らしいよ」

「へえ…さすがにキャンプファイヤーの周りでフォークダンスってわけではないよね」

「それは漫画とかの中でしか聞いたことないな、本当にするところってあるんかね?」

「さあ」と言ってもかと2人で笑った。

フォークダンスというものはこれまでにした経験がないな…などと考えていた時、少し離れたところに数人の男子の群れが視界に入った。その中に前野くんがいた。一緒にいる人たちと談笑していた。

わあ…見つけちゃったと思っているとチャイムが鳴り、体育館にいる生徒は慌ててクラスごとに出席番号順に2列で整列をした。私も少し動揺しながらも、自分の位置に並ぶ。
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