彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「凛君が、凛君が、誘拐されて、ここに連れて来られたんです!!」
「そうなんだよ!!こんなに広い場所、手分けしなきゃ凛先輩見つけらんねぇーよ!急がねぇと、凛先輩があぶねぇ目に絶対合う!!力貸してくれよ、真田瑞希さん!!」
「・・・。」
私達の訴えに、何故かあからさまに、不愉快そうな表情をする凛君のお兄さん。
「さ、真田さん?」
「聞いてんのかよ、真田瑞希さんよ!!」
「俺は愛人の子じゃねぇ。」
「「えっ!?」」
「よーく、見ろ。タッパが奴よりあるだろうーが。」
「た、たっぱ??」
「あっ!?言われてみれば、いつもより身長が高けぇ!!?髪形も違う!!?」
(あ・・・『たっぱ』って、身長って意味だったのね?)
ヤンキー用語なのかしら?
(待って、待って!今はそれどころじゃないわ!)
「た、確かに・・・いつもの真田さんより背が高いです・・・!」
だけど、この顔のつくりは真田瑞希さん。
「どうしたんだよ!!?急成長したのか!?」
「ボケ。人違いだ。」
「「人違い!?」」
(つまり、そっくりさん!?)
思わず、神楽坂君と顔を見合わせれば、真田さんのそっくりさんは言った。
「凛道蓮は、ここにさらわれてきてんのか?」
「あ・・・そ、そうです!だから私達、助けたくて尾行をして、ここまで来て――――――!」
「サツには通報したか?」
「電波妨害されてて、呼び出せないんだよ!!2号さんのスマホだけは、ポリとつながったままだけど、雑音しかしねぇーんだよ!!」
「ほお~・・・面白れぇマネしてくれるじゃねぇか・・・。」
目を細めながら言う真田瑞希さんのそっくりさん。
そして、スマホを取り出すと、画面を私達に見せる。
その上で、スピーカーボタンをタッチして、110と打ち込んだ。
「あ!?あの、待って下さい!さっきここについてからも警察にかけたのですが、つながらなかったので――――――――」
〈もしもし。事件ですか?事故ですか?〉
「「ええ!?」」
(つながった!!?)
真田瑞希さんのそっくりさんのスマホが、警察に通じた。