彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「凛先輩!?」
「凛君!?」
「ちょっとムダな抵抗してるクソ野郎に、とどめさしてくるわ・・・。」
「え!?無理したらダメよ、凛君!警察に任せましょう!?」
「てか、そういうことならお供します、凛先輩♪」
私と神楽坂君2人に笑いかけると、座り込んでいる踏み台から凛君は立ち上がったのだが―――――――――
クラ!
「うっ!?」
凛君の身体が斜めに傾いた。
「凛先輩!!?」
「危ない!!」
とっさに神楽坂君と2人で、凛君を支えた。
おかげで、凛君は足を踏み外さずに済んだ。
「クソ・・・!薬が残ってんのか・・・!?」
「薬ぃ!?」
「凛君、薬を盛られたの!?」
「そうなんだよね~」
「だめじゃないっすか!!安静にしないと!!」
「無茶しないで凛君!!お願いします!!」
「だけど、あの偽者野郎を捕まえな―――――――――」
「―――――――――どけっ!!」
凛の声をさえぎる声がした。
「ヘルメットマンさん?」
見れば、暴れるフルフェイスのヘルメットの人物を遠巻きで包囲しているおまわりさん達をかき分け、檜扇柊護さんが近づいていた。
「檜扇さん、危ないのでさがっ――――――――!」
「下がってろ。」
おまわりさんの制止を無視すると、スタスタとフルフェイスのヘルメットを着けた人物に迫る真田さんのそっくりさん。
「うっ・・・うわああ!!うわああああああああああ!!」
敵は叫びながら鉄パイプを振り回すが―――――
「手間かけさせるんじゃねぇ!!」
スパーン!!
乱舞する鉄パイプの間に、足を差し込んで、頭部を蹴り飛ばされた。
「ぐはっ!!?」
ズザア――――――――――!!
それで思いっきり吹き飛ぶフルフェイスのヘルメットを着けた人物。
カラン!!コロコロ!!
吹っ飛ばされた勢いで、かぶっていたフルフェイスのヘルメットが外れる。
素顔がさらされる。
「え!?あなたは――――――――――!?」
「お父さん!!?」
(え!?お父さん!?)
言ったのは、凛君と一緒に誘拐された人。
言われてみれば、顔が似ていた。
(どういうこと!?凛君の関係者の親御さんが、凛君を殺そうとしたの!?)
困惑する。
でも、私以上に、凛君が驚いている。