彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「ニセヘルメットマンさんの正体は、高野舟槙(こうや しゅうま)のお父さんだったのですか!!?なぜです!!?なぜ、実の息子まで殺そうとしたのですか!!?」
凛君の問いかけに、高野舟槙(こうや しゅうま)のお父さんと呼ばれた人は、口元をゆがめて凛君をにらみつけるだけ。
「そんな不細工な顔されても困りますよ!!どうして、誘拐までして、罪のないチワワをミンチ肉にして、僕らに危害を加える真似をしたのですか!!?高野舟槙(こうや しゅうま)のお父さん!?」
「違う!!お父さんじゃない!!」
「高野舟槙(こうや しゅうま)!?」
何も言わない父親に代わり、その息子さんらしい人が口を開いた。
「俺のお父さんがこんなことをするはずがない!!お父さんが――――――いや!こいつはお父さんじゃなくて、そっくりさんなんだ、きっと!?赤の他人だよな!?そうだよな!?」
「・・・。」
高野舟槙(こうや しゅうま)さんの問いかけに、我が子を見ることなく、無言を貫く父親と思われる男。
それでイラ立ち気味に、高野舟槙(こうや しゅうま)は声をかけ続ける。
「なんとか言ってくれよ!あんた、本物のお父さんなのか!?似てるだけだよな!?そっくりさんだよな!?」
「本物だぞ、舟槙(しゅうま)。」
動揺する高野舟槙(こうや しゅうま)さんに、冷たい声で告げる檜扇柊護さん。
それで、キッと真田さんのそっくりさんを、にらみつける高野舟槙(こうや しゅうま)さん。
「違う!!お父さんなはずが――――――父であるはずがない!!」
「息子のくせに、親の判別もできねぇのか、オメーは?」
「何かの間違いだ!!」
「それを含めて調べるのが、警察の仕事だ。連れて行ってくれ。」
「・・・わかりました。」
檜扇柊護さんの言葉に、警察署の署長がうなずく。
座り込んでいる高野舟槙(こうや しゅうま)さんの父親を立たせると、その両手に手錠をかける警察署長。
ガチャン!
「ああ!?待ってくれ!!なんで手錠をかけるんだ!?お父さんはきっと、冗談で俺達をからかっただけだ!!手錠を外してくれ!!」
「そのセリフ、凛道蓮を見ても言えるのか、舟槙(しゅうま)?」
「お父さんにそっくりな赤の他人だ!!」
(言えるの!!?)
凛君を見ながら叫ぶ高野舟槙(こうや しゅうま)さんにイラっとする。
(いくら身内だからって、凛君を殺そうとした人をかばうなんて―――――許せない!!)
〔★涼子は、高野舟槙(こうや しゅうま)を敵認定した★〕