彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「あ、ありがとうございます!すみませんでした!ロープまで切ってもらって!」
「・・・だいたいの奴は、助けたらロープまで切れっていうけど、オメーは言わないのな。」
「え?あ・・・言われてみれば、そうかもしれませんね。」
「チッ!俺がオメーの面倒を見るのはここまでだ。」
慣れた動きでバタフライナイフをしまうと、今度こそ凛君に背を向けて離れて行く檜扇さん。



「・・・親切だ。」







素直な凛君の言葉に、胸がときめいてしまう。
どこまで純粋な人なのだろう、と。



「大人しくしろ!」
「抵抗するな!」
「暴れるなよ!」



おまわりさん達が誘拐犯達を次々に拘束していく。
凛君に近づいていけば、彼はぽつりと言った。








「よかった・・・・・・。」


「な・・・・?」

(何が良かったって言うの、凛君!!?)


「よくないっすよ、凛先輩!!?」
「凛君、死にかけたじゃないですか!!?」
「えっ!?雷太!?涼子ちゃん!?」








私達の存在に気づいて凛君がギョッとする。








「ど、どうしたんですか!?なぜ、2人がここにいるのですか!?」
「凛先輩、危うく殺されかけたんすよ!?なにがよかったですか!!?マジ、心配したんすからね!!?」
「神楽坂君の言う通りです!!凛君が無事で本当に良かった・・・!!」








反射的に凛君に抱き着く。
それは神楽坂君も同じで、2人でリンクに抱き着いた。
室内にただよう血の匂い。
だれか、ミンチ肉にされてしまったのだろうか?








(もしそれが凛君だったら・・・・。)








突入するのが、もう少し遅かったら――――――――








(凛君じゃなくてよかった・・・!!凛君が無事でよかった・・・!!)


「ごめんね、2人共。心配してくれて、ありがとう。」








右手で私を、左手で神楽坂君を抱きしめる凛君。








「凛君・・・!!」
「凛せんぱーい!!」








凛君のぬくもりに、彼を守れたということに、ホッと安堵していたのだが――――――――





「うわああああああああああああ!!!」





部屋中に響く絶叫。
反射的に凛君にすがりつけば、彼は私をかばってくれた。
恐る恐る、声のした方を見る。





「抵抗するな!!」
「武器を捨てろ!!」
「大人しくしろ!!」





見れば、おまわりさん達がフルフェイスのヘルメットを着けた人物を捕まえようとしていた。
主犯格らしい人物は、鉄パイプを無茶苦茶に振り回して抵抗していた。







「あの野郎・・・!」







そうつぶやくと、私と神楽坂君から身体を離す凛君。








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