彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「ヘルメットマンさん!?」
「その呼び方やめろ。俺の名前は檜扇柊護だ。」
「あ、すみません。」
「お前、奴らに薬盛られたんだろう?うちの病院に連れてってやるから来い。」
「えっ!?―――――――それなら、かかりつけ医のところに行きます!自分で行けるので、お気遣いなく!」
「そうか。あてがるならいい。」
「お気を遣って下さったのに、すみませんでした。」
「謝るぐらいなら、最初から捕まるな。」
「うっ!」
「ああん!?なんだとコラ!?」
「だ、ダメだよ、神楽坂君!助けてくれた人に、ケンカを売ったらダメですよ!」
「涼子ちゃんの言う通りだよ、雷太。やめなさい。ヘル・・・柊護さんのお言葉、肝に銘じます。」
「そうかよ。」
「なんすかそれ!?マジで凛先輩は、お人好しなんだから~!!」
「落ち着きなさいって。後でお菓子買ってあげるから。」
地団太を踏む神楽坂君を、凛君がなだめている時だった。
「ちょっと君達、いいかな?」
「はい?」
おまわりさんが2人やってきた。
「事件の被害者でもある君と、通報者である君達も、一緒に署の方へ来てほしい。」
「えっ!?」
「げ!?」
「あ・・・かまいませんが。」
そうなるわよね。
これは殺人未遂であり、他殺未遂の犯罪。
(凛君を殺そうとしたことを後悔させるぐらい、しっかり証言をしなくっちゃ! )
そう思ったのだけど―――――――
「あ、あの、僕!被害届を出す気はないので行きません!!」
(え!?被害届を出す気がない!?)
凛君は拒絶の言葉を口にした。