彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「ありがとうございました、ヘル、柊護さん!」





凛君の感謝の言葉に、檜扇柊護さんは目だけで凛君を見ながら言った。





「お前、龍星軍の4代目として、余罪があるだろう?警察行って、そのままパクられると、こっちの都合が悪いからな。」
「え?」


(え?凛君が警察に行くと、檜扇柊護さんにとってもよくなかったってこと?)


「あの・・・僕の警察行きを助けてくれたのは、なにか下心があるからですか・・・?」
「下心ぉ!?」
「凛君!?」





凛君の言葉に驚く私と神楽坂君。
問われた方に関しては、ハアー・・・とため息をつくと、ポケットから煙草らしきものなどを取り出す。
そして、私達の前で煙草をくわえると言った。





「おりゃ、ゲイでもホモでも朝霧モニカでもねぇから、オメーに欲情しねぇーよ。」
「な!?モニカちゃんは女の子です!!ゲイとホモと一緒にしないで下さい!!」
「ほぉ~オメーあれが女に見えんのか?」
「そうです!!」
「へっ!マイノリティー精神があって、けっこう、けっこう。」





そう言いながら煙草に火をつける真田さんのそっくりさん。
途端に、血の匂いが上書きされ、香水のような癖のある香りが、私の周りに広がった。





「あ、良い香り。」
「宗方烈司が吸ってる安もんとは違うからな。」
「お高いのですか?」
「獅子島伊織なら余裕で買えるだろう。」





何を考えてるかわからない姿に困惑していれば、凛君が真田さんのそっくりさんに話しかけた。







「あの!えーと・・・・・これから・・・僕らをどうする気ですか・・・?」
「オメーに関しては灰皿にする。」
「え?うわ!?」
「凛先輩!!」
「凛君!?」
「う、え!?」
「もういらねぇーからやるよ。」







そう言って、自分が吸っていたたばこを、凛君の口にくわえさせた檜扇柊護さん。










(か、顔可愛い!!)










同時に、初めて見る凛君の素顔にハートを射貫かれた私。










(顔が不細工だから隠してるって聞いてたけど――――――――)


「不細工はデマか。ベビーフェイスかよ。」



(仰る通り!!ベビーフェイスで、中性的なジャニーズ系の王子様顔!!)

可愛い・・・!!

凛君可愛いよ!!

鼻は小さくて、唇は潤っていて、キレイな顔!!

(なのになんで隠すの!?隠す必要なんてないよ!?)



「お家に帰れ、ガキども。」










その言葉で我に返る。
気づけば、檜扇柊護さんは、呆然とする私達3人を残して立ち去っていた。










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