彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
戸惑う凛君。
それで何か言わなくちゃと思って、言葉を絞り出した。
「・・・・・・・・ど、どういう意味でしょう?」
「あいつ、家に帰れって言ったから――――――」
「好きにしろってこと・・・?」
お互いに顔を見合わせながら、推測で話し合う私達3人。
ふいに、神楽坂君が叫んだ。
「あ!?つーか、あいつ!!凛先輩に煙草くわえさせやがっ―――――――――!?あ!?凛先輩の素顔、可愛いじゃないっすか!?なんで隠すんすか!?」
「本当ですね!初めて見ましたが、可愛いです・・・♪」
神楽坂君の言葉に便乗して、正直な感想を伝える。
「あっ!!?」
途端に、動揺し始める凛君。
「み、見ないで下さい!!忘れて下さい!!」
そう言いながら、口から煙草を取って、神楽坂君に差し出す。
「雷太!煙草持ってて!!」
「あ、押忍!」
そして、素早くシルキロールで顔半分を隠してしまった。
(もったいない・・・。)
「今日、僕の顔を見たことは、誰にも言わないで下さい!!総長命令です!!」
「押忍!わかりました!!凛先輩と秘密の共有なんて、優越感はんぱねぇー♪」
(優越感は、私もちょっと思った。だけど、凛君に言われなくても――――――――――)
「わ、私も誰にも言いません!約束します!」
(凛君が、意図的に顔を隠している以上、言いふらすような下品な真似はしない。)
「ありがとう、雷太!涼子ちゃん!」
笑顔でお礼を言ってくる凛君を、また1つ好きになる。
「それにしてもビックリしましたね・・・『灰皿にする』って言われるから、何が起きるか心配しましたが――――――」
「うん、僕もびっくりしました。『灰皿にする』って、吸いかけのたばこをパスしただけでしたね。」
「そうっすね!奴が吸った煙草――――――――――あああああ!!?ダメじゃないっすか!!?」
ほのぼのと話していたら、再び神楽坂君が叫ぶ。
「今の間接キスじゃないっすかっ!!?」
「「あ!!?」」
雷太の言葉で、声をそろえて気が付く私と凛君。
(そうよ!!今のは完全に、間接キスだわっ!!!)
和んでいた気持ちが、一気に急降下する。
(よりによって、男の人に凛君の間接キスが奪われるなんて・・・!!)
おまけに、その現場を見ちゃうなんて・・・!!
(あ、あとからくるショックが大きすぎる・・・!!)
〔★涼子はダメージを受けた★〕