彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
ショックを受けたのは、私だけじゃなかった。
「凛先輩の口が汚された!!消毒液!!消毒液!!」
(そうよ!!消毒!!)
神楽坂君の言葉で、私も行動に出た。
「わ、私!顔にも使える除菌シート持ってます!凛クン、使って下さい!!」
「ありがとう、涼子ちゃん!!」
凛君は、私が差し出した除菌シートを受け取ると、私達から数歩離れた場所でシルキロールをずらして唇を拭いてくれた。
「凛先輩!!俺、あいつにヤキ入れてきます!!こんなタバコなんか、こうしてや――――――――!!」
そう言いながら、間接キスの原因になった煙草を床に叩きつけようとする神楽坂君。
「ダメダメ!!やめなさい!!」
それを、シルキロールを元に戻しながら神楽坂君にかけよって止める凛君。
「ヤキを入れるのも、タバコのポイ捨てもダメです!!タバコはごみ箱に捨てましょう!!」
「そうしましょう、神楽坂君!凛君がやめてって言ってるから、ここは凛君の意思を尊重しましょう!?」
(気持ちはわかるけど、凛君の言い分が正しい・・・!!)
「くっそ~!!腹立つな!!あのクソ野郎!!」
凛の言葉を受け、振り上げていたたばこを持つ手を下ろす神楽坂君。
「とりあえず、タバコは僕が持ちますから。ほら、返して。」
「・・・うっす。」
「あ、どうしよう。タバコの火が、まだついたままだ。」
「凛先輩、そういう時は、壁にでも押し付けて消せばいいんすよ?」
「え?そうなの?」
「俺はそうしてます。」
「そうですか、それは――――――――――!?え!?雷太、タバコ吸ってるの!?」
「押忍、吸ってます!」
「ダメだよ!成長期なのに大きくなれないよ!?」
真顔で言う凛君を見て思う。
(十分神楽坂君は、成長してると思うけど・・・)
・・・うん、思うだけで、口に出すのはやめておこう。
〔★涼子は自分の意見を飲み込んだ★〕