彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「法律違反だし、身体にも悪いから、やめなさい。」
「え!?ツッパリがタバコ吸わないって、変じゃないっすか!?」
「令和は多様化の時代だよ!あ!?そうなると――――――雷太がタバコをするのも、個人の自由になるのかな?注意したらまずかった・・・??」
「・・・凛先輩が吸うなって言うなら、吸わないっすけど・・・」
「えーと、どうしよう・・・!?吸わせない方が、雷太のためなのかな・・・!?」
「ちなみに凛先輩、吸ってるんすか?」
「ううん。背が伸びなくなるから吸わないよ。」
「じゃあ俺、今日から煙草やめます!」
「え!?別に僕がダメとは言っちゃったけど、無理しなくても――――――――」
「リスペクトしてる凛先輩とおそろいがいいんす!!凛先輩!クソッたれのたばこを、どうぞ!」
「あ、うん・・・・・雷太は、ヘルメットマンさんをクソッたれ認定したのか?」
「そうっすね!」
「彼に借りを作った立場ってことは、忘れちゃダメだよ?」





そう言いながら、タバコを壁に押し付ける凛君。








(・・・・・そろそろいいかな。)








予想外の間接キスに驚いてしまったけど、凛君は精肉機械でミンチ肉にされかけた身。
助けに来た時には、両手両足を拘束されていた。








(誘拐された時も、手荒にされて、怪我してるかもしれない上に、薬まで盛られているとなると――――――――)

急がなきゃ!!

「あの~凛君、そろそろいいでしょうか?」

(凛君を病院へ運ばなきゃ!!)








そんな私の思いとは裏腹に、凛君は笑顔でとんちんかんなことを言う。








「あ!?ごめんね、涼子ちゃん!早く帰らないと、お家の人が心配するよね!?」
「それもありますが、そうじゃないです!凛君を、かかりつけ医さんのところに運ばないといけないじゃないですか!?」
「あ。」
「あー!!?そうっすよ!!早く凛先輩を病院に運ばないと!!」
「・・・雷太、涼子ちゃんを家まで送り届けてくれ。」
「凛先輩!?」
「凛君!?」
「僕一人で、シゲ先生のところへ行くから。」
「そうはいかないっすよ!!俺の原付で送ります!!」
「それだと涼子ちゃんが、乗れな――――――」
「3ケツしましょう!!いいっすよね、小林さん!?」


「はい!凛君のためなら、3人乗りします!!」
「涼子ちゃん!!?」

凛君を放っておけない!!

側にいたい!!

(最後まで、凛君のことを見届けたい!!)








そう願う私に、凛君は残酷なことを言った。










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