彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「俺はテメーの孫じゃねぇ。瑞希様も孫じゃねぇ。赤の他人だから、今後は関わってくるな。」
〈ご、ごめんなさい!!蓮ちゃんが怒るのも無理はないわ!ばあば、蓮ちゃんの声が聞けて嬉しくて、つい、はしゃいで・・・だから赤の他人だなんて、そんな冷たいこと言わないで・・・!!〉
「赤の他人だ。こっちは殺されかけたんだぞ?誰が加害者の身内と仲良くできるかよ!!」
〈蓮ちゃん!!ばあばは、あなたを失いたくないの!!お願いよ!!お金ならいくらでもあげるから、ばあばを見捨てないで!!〉
「テメー俺が金で動く人間だと思ってんのかよっ!!?」
思わず、スマホを、スマホの向こう側にいる老女を怒鳴りつける。
これに老女は――――――――――
〈うわぁぁぁ~ん!!蓮ちゃんが怒ったぁ~!!ばあばを嫌いにならないでぇ~!!〉
泣き出した。
「おい!!」
〈ひっく!ひっく!うわぁぁぁーん!!ばあばにできることはもう、お金をあげることしかできないのにぃ~!!〉
その返事を聞いて思う。
(鳥恒先生が言った通りの人物なら―――――――本当に泣いているか怪しいな・・・!!)
〔★凛は警戒している★〕
〈ばあばには、ばあばには、蓮ちゃんが必要なの!!ううん、蓮ちゃんもだけど、瑞希ちゃんも必要なの!!お願い!!老い先短いばあばに、瑞希ちゃんと2人で会いに来て~!!〉
「あんたね・・・!」
(この人、まだ私のこと、孫だと思ってるのか・・・。)
「・・・俺も粘り強い方だから言わせてもらう。俺、凛道蓮も真田瑞希様も、檜扇湖亀、あんたの孫じゃない。本当の孫じゃないんだ。死ぬまでに理解しろ。」
そう告げて、相手が何か言う前に電話を切った。
「なんすか、今の?」
最初に声をかけてきたのは雷太。
その顔を見れば、ドン引きの表情をしていた。
だから伝えた。
「俺と真田瑞希様に執着してる死にかけの悪徳ババアだ。」
「悪徳!?悪いやつなんすか!?」
「でも、そんな風には感じませんでしたけど・・・。」
「それは、涼子ちゃんが優しいからだよ。」
戸惑う表情を見せる女の子の頭をなでながら告げる。
そう・・・良い人ぶるぐらい、いくらでもできる。