腹黒御曹司の一途な求婚
芙由子さんが帰られたのは三時過ぎ。
そこから食器の片付けをしていたら、あっという間に日暮れになっていた。
久高くんからは「帰る?」と聞かれたけれど、私は首を横に振った。今日はいつもより離れがたかったから。
なので夕食には少し早い時間だけれど、ディナーをすることになった。
本当は「夜ご飯は私が作るね!」なんて言えたらよかったのだけれど、まあ、そんな技量があるはずもなく、当然のように外へ出る。
久高くんが連れてきてくれたのは、ツインタワーにある会員制のバーラウンジだった。
彼はよく仕事の同僚とここへ来るらしい。店内は落ち着いた雰囲気で、席はカーテンで仕切られているので人目も気にならない。
お酒も食事も美味しいのだと言っていたけれど、相変わらず久高くんはノンアルコールに徹している。
私と初めて食事をした日(彼が盛大に酔っ払った日、ともいう)以来、彼は一滴もアルコールを口にしていないらしい。
「お酒、もう飲まないの?」
私も怒ってなどいないし、もう気にしなくていいんじゃない?とその思いで訊ねてみると、久高くんは少し面映そうにした。
「一生飲まないつもりはないんだけど……今は願掛けてるから」
私を見つめる久高くんの瞳に熱が帯びている。私の頬もつられて熱くなるのを感じた。
久高くんの言う願掛けが何か……なんて分かりきっている。
プレッシャーとは思わなかった。
むしろ私の中ではっきりと答えはもう出ている。
「そっか……」
「どうした?なんか、スッキリした顔してる」
牛ほほ肉の赤ワイン煮込みを取り分けながら、久高くんが言った。
まさか顔にも出ているとは思わなくて、私ははにかみながら答えた。
そこから食器の片付けをしていたら、あっという間に日暮れになっていた。
久高くんからは「帰る?」と聞かれたけれど、私は首を横に振った。今日はいつもより離れがたかったから。
なので夕食には少し早い時間だけれど、ディナーをすることになった。
本当は「夜ご飯は私が作るね!」なんて言えたらよかったのだけれど、まあ、そんな技量があるはずもなく、当然のように外へ出る。
久高くんが連れてきてくれたのは、ツインタワーにある会員制のバーラウンジだった。
彼はよく仕事の同僚とここへ来るらしい。店内は落ち着いた雰囲気で、席はカーテンで仕切られているので人目も気にならない。
お酒も食事も美味しいのだと言っていたけれど、相変わらず久高くんはノンアルコールに徹している。
私と初めて食事をした日(彼が盛大に酔っ払った日、ともいう)以来、彼は一滴もアルコールを口にしていないらしい。
「お酒、もう飲まないの?」
私も怒ってなどいないし、もう気にしなくていいんじゃない?とその思いで訊ねてみると、久高くんは少し面映そうにした。
「一生飲まないつもりはないんだけど……今は願掛けてるから」
私を見つめる久高くんの瞳に熱が帯びている。私の頬もつられて熱くなるのを感じた。
久高くんの言う願掛けが何か……なんて分かりきっている。
プレッシャーとは思わなかった。
むしろ私の中ではっきりと答えはもう出ている。
「そっか……」
「どうした?なんか、スッキリした顔してる」
牛ほほ肉の赤ワイン煮込みを取り分けながら、久高くんが言った。
まさか顔にも出ているとは思わなくて、私ははにかみながら答えた。