花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
櫂李さんがどうしてこの病院にいるんだろう?
どこか体調が悪いのかな?
どうしてあんなに見た目のイメージを変えているんだろう?
疑問だらけで、その日のバイトは細かいミスを連発してしまうくらい手につかなかった。
今日は月曜日だから、もしも彼が通院しているならまた来週の月曜日に来るんじゃないのかな。
そう考えた私は、翌週の同じ時間のシフトを変えさせてもらった。


一週間後。

病院の外の、エントランスが見えるベンチに座りながらあれこれと考える。
勢い余ったような行動をしてしまったけど、彼に会えるだろうか?
私は彼に会ってどうするつもりなんだろう?
だけど、もしも櫂李さんが病気だったらすごく心配。
急な離婚と何か関係があるんじゃないか……なんて考えてしまう。

もうすぐ……先週、彼を見かけた時間になる。

ベリが丘総合病院は大きいだけあって、エントランスからの人の出入りが常に多い。
櫂李さんと同じような体格の人もさっきから何人か見かけた。
それでも、彼がいたらすぐに気づく自信がある。


エントランスの自動ドアが開いて、人影が目に入る。

やっぱり、すぐにわかる。

私は胸に手を当てて緊張気味に小さな深呼吸をした。

「櫂李さん!」
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